女提督の凱旋 上 (ハヤカワ文庫 SF ウ 16-16 紅の勇者オナー・ハリントン 8) 女提督の凱旋 下 (ハヤカワ文庫 SF ウ 16-17 紅の勇者オナー・ハリントン 8)

恒星間戦争を描くSFシリーズの第8巻。
この巻は、本筋と関係ないところで、興味深い点がいくつかあった。

核分裂

このSFシリーズの世界の主要動力源は核融合だ。宇宙モノや未来モノのSFにありがちな設定である。しかし、この巻は、核分裂を主動力源にした小型の新型艦艇が登場し、それがとても新鮮に思えた。
このシリーズの世界では、核分裂は汚なく危険な技術と認識され、大昔に核融合に取って代わられたのだが、技術発展により核分裂の諸問題が解決してみると、特定の状況で核融合より優位になったため、核分裂を使った小型艦が登場したのだ。
今まで読んだ主要動力が核融合反物質のSFでは、反物質核融合>>超えられない壁>>核分裂であり、核融合反物質による動力炉の実用化後は核分裂は出る幕がなかったり、発展途上国特有の技術として登場するくらいだったが、今回、条件付で核分裂優位な状況が登場することを新鮮に感じ、唸ってしまった。

ハイライン蜂起

このシリーズの世界では、地球から他の恒星系への移民が始まる前に、月の入植者が地球に反旗を翻す「ハイライン蜂起」が起こり、地球は岩を投げつけられたそうだ。
もちろん、ネタ元は月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 207)だろう。読んでいて、ニヤついてしまった。

女提督の凱旋 上 (ハヤカワ文庫 SF ウ 16-16 紅の勇者オナー・ハリントン 8)

女提督の凱旋 上 (ハヤカワ文庫 SF ウ 16-16 紅の勇者オナー・ハリントン 8)

女提督の凱旋 下 (ハヤカワ文庫 SF ウ 16-17 紅の勇者オナー・ハリントン 8)

女提督の凱旋 下 (ハヤカワ文庫 SF ウ 16-17 紅の勇者オナー・ハリントン 8)

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 207)

月は無慈悲な夜の女王 (ハヤカワ文庫 SF 207)