超・格差社会アメリカの真実

超・格差社会アメリカの真実

超・格差社会アメリカの真実

この本は、アメリカ在住26年になる日本人の著者が、アメリカで格差社会の歴史と現状を、アメリカにとっての外人視点から紹介している。
幾人かの例を元にした現状の階層化を概説する章から始まり、富が偏在する理由、それが成立した歴史的経緯、階層化の固定を助長している教育体制、階層化を許容しているアメリカ国民の考え方の章が続く。そして、最終章では、アメリカ型資本主義社会経済がアメリカ以外(特に日本)に広がった場合の影響について考察している。各章を通して、豊富な図表が、著者の主張の裏付けとして添えられている。
私は、この本が気にいっている。何故なら、一般に格差社会と言われるアメリカの現状と成立経緯を、わかりやすく、客観的に記述しているからだ。また、そのような類書がない点も貴重だ。唯一、一部図表が小さくて見づらいのが残念だ。
余談だが、最終章以外の文章の書き方が、アメリカのエッセイ形式(小論文形式)に忠実な文章構成なので、読んでいる途中、「これ、翻訳書だっけ?」と何度も思い、その度に、表紙や後付を確認し直した。一方で、最終章は、日本人っぽい随筆的新聞社説形式(って、言うのかどうか知らんけど)な書き方なため、「著者って何者?」と思うに至った。結局、これは、後書きで書かれている、日本語と英語の違いについての説明で納得できた。